内反症は一般的に「逆さまつ毛」と呼ばれているものです。まつ毛は本来、まぶたの縁から眼球の反対方向にカールして生えています。逆さまつ毛は何らかの原因で、まつ毛が内向きに眼球に向かって生え、眼球に触れている状態になります。そのため、角膜が常に傷つき、ゴロゴロしたり、痛みや充血が続いたり、涙目になることがあります。重症になると光をまぶしく感じたり、視力が低下したりすることもあります。
逆さまつ毛には、睫毛乱生(しょうもうらんせい)、睫毛内反症(しょうもうないはんしょう)、眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)があります。睫毛乱生は、まぶたの向きに異常はなく、正常なまつ毛の中に何本かが眼球に向かって生えている状態です。まつ毛の毛根周囲で起きた炎症の傷あとなどが原因で、まつ毛の生える方向が不規則になってしまうものです。睫毛内反症は、まぶたの向きは正常ですが、下まぶたの皮膚や皮下脂肪が厚いため、盛り上がった皮膚によって、まつ毛が眼球方向に押し込まれている状態です。先天性のものが多く、乳幼児によくみられます。
眼瞼内反症は、まつ毛だけではなく、まぶたの縁全体が眼球側を向いてしまう状態です。最も多い原因が加齢で、まぶたを閉じる筋肉が緩んだり、まぶたの皮膚がたるんだりすることによって、変形が起こります。
当院の治療・手術について
乳児期にみられる先天性睫毛内反症は、成長にともなって改善することが多いため、強い角膜炎や視力障害を起こしていなければ、しばらくは経過観察となります。学童期(7歳ころ)になっても改善しない場合は手術を検討します。
加齢によって起こる眼瞼内反症の場合、根治には手術が必要となります。内向きに生えたまつ毛を抜く、などの一時的な対処法もありますが、毛根が残っていると再び内向きのまつ毛が生え、症状を繰り返すことになりますので、当院では根治できる手術をおすすめしています。手術は患者様の状態に合わせて適切な方法を選択します。
糸をまぶたの中に縫い込むことで、まつ毛の根元を外向きに起こします。上下まぶたとも適応です。負担の少ない手術ですが、眼瞼の弛緩が強い場合は再発のリスクが高いので下眼瞼形成の適応となります。
まぶたの皮膚を切開する手術です。眼輪筋(がんりんきん)の切除や挙筋腱膜(きょきんけんまく)/下制筋を縫い縮めるなどの処置を行い、切開部分を縫い付けることでまぶたを外向きにします。上下どちらのまぶたにも行えます。
目頭側の皮膚を切除するのが「内眥形成(目頭切開)」です。Hotz変法だけでなく内眥形成(目頭切開)を加えると術後の経過が良いため、当院では必要な患者様へは内眥形成も一緒にお勧めします。当院では、内田法、Z形成術などの術式から患者様にとってベストな方法を選択してご提案しています。いずれの手術も局所麻酔で、所要時間は20~30分程度です。日帰りで受けていただくことができます。
逆さまつ毛は、切ったり抜いたりすると、今度は先端がとがったまつ毛が生えてきて角膜を傷つける場合があります。自己処理はせず、適切な治療をおすすめします。
施術時間 |
01.Hotz法(ホッツ法):片側20~30分程度。
02.上下眼瞼形成:片側30~45分程度。 |
ダウンタイム |
2週間程度。 |
リスク・副作用 |
腫脹、出血、感染、瘢痕、外反など。 |
注意事項 |
個人差がありますが、手術後は患部が腫れるためメガネやサングラスの着用をおすすめしています。
翌日より患部を含めて洗っても問題ありませんが、擦らないように優しく洗うように心がけてください。 |